

じつをいうと、いまのアメリカではトマトジュースはまったく不人気なのだ。
私たち日本人は、アメリカ人は毎朝トマトジュースを飲むというイメージをもっているが、そうではない。
そのわけは簡単、まずいからだ。
アメリカのトマトジュースは、日本のトマトジュースに慣れた私たちには、とても飲めたシロモノではない。
なぜアメリカのトマトジュースがまずいのか。
まず、原料のトマトにジュース専用の品種が少ないこと。
次に、味を損なわずに低温で製造する技術がないこと。
そして、トマトを破砕してつくる場合、破砕してから少し時間をおいて味や香りを最大限に引きだす工夫をしていないことがあげられる。
飲みくらべてみると、そのちがいは誰の舌にもはっきりしている。
アメリカのトマトジュースは、ジュースらしいフレッシュ感に乏しく、どろんとした味だ。
中には薬くさいものすらある。
これではアメリカ人が敬遠するのも無理はない。
以前、私はアメリカ人に、日本製のトマトジュースとアメリカ製のトマトジュースを飲みくらべてもらったことがあるが、そのアメリカ人は日本製のトマトジュースを飲んで「トマトジュースがこんなにうまいのか」と目をむいていた。
せっかくトマトジュースを飲む習慣がありながら、それを捨ててしまったというのは、なんとももったいない話である。
トマトジュースは、アメリカ人が求めてやまない健康にとてもいい野菜飲料だというのに。
飽食の時代というべきか、テレビのスイッチを入れると、朝から晩まで食べ物の映像が目にとびこんでくる。
どのチャンネルも、有名レストランのシェフやら花板さんをゲストに呼んで、やれ中華だフレンチだと料理番組の花ざかりだ。
たんにつくり方を教えるだけではおさまらず、シェフ同士を対決させて、文化人にその味を判定させ、優劣を競わせるなどという番組まで登場した。
フランス料理チャンピオンも、料理の鉄人とやらもけっこうだが、なんだかだいじな食べ物を見世物にしているようで、どうも気に入らない。
それでも仕事がら、どんな野菜を使っているのか気になるから、ついついこの手の番組を見てしまう。
この種の番組には美人レポーターやタレントがつきもので、視聴者に代わってできあがった料理を口に運び、感想を述べる。
セリフは最初から決まっていて、「まあ、おいしい」とかなんとか、シェフへのお追従だ。
「あら、まずいわ」なんていうわけにいかないだろうから、それはそれでいい。
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